マグロの初競りは年明けの風物詩として多くの注目を集めています。
「すしざんまい」の名物社長である木村清社長が一番マグロを競り落とす姿は有名ですよね!
しかし「ここ数年、木村社長の姿をニュースで見かけない…」と思っている方は多いのではないでしょうか。
それもそのはず、「すしざんまい」を運営する株式会社喜代村・木村社長は2020年を最後に一番マグロを競り落としていないのです。
「すしざんまいは経営危機でお金がない?」「実は豊洲を出禁になった?」といった噂もネット上では飛び交っています。
結論から言うと、すしざんまいは「お金がなくて買えない」のではなく、「経営戦略として買わない」という判断をしています。
本記事では、歴代の落札データと経営数値を元に、すしざんまいが一番マグロから撤退した本当の理由と、ネット上で囁かれる噂の真相を徹底解説します。
マグロ初競りで一番マグロを競り落とした歴代の落札者

まずは、マグロの初競りにおける「一番マグロ(最高値)」の落札者を振り返ってみましょう。
かつては「すしざんまい(株式会社喜代村)」の独壇場でしたが、2021年を境に流れが完全に変わっていることがわかります。
歴代マグロ初競り 落札結果(2008年〜2025年)
| 年 | 落札価格 | 落札者(店舗・企業) |
| 2025 | 2億700万円 | やま幸・銀座おのでら |
| 2024 | 1億1424万円 | やま幸・銀座おのでら |
| 2023 | 3604万円 | やま幸・銀座おのでら |
| 2022 | 1688万円 | やま幸・銀座おのでら |
| 2021 | 2084万円 | やま幸・銀座おのでら |
| 2020 | 1億9320万円 | すしざんまい |
| 2019 | 3億3360万円 | すしざんまい |
| 2018 | 3645万円 | LEOC (銀座おのでら) |
| 2017 | 7420万円 | すしざんまい |
| 2016 | 1400万円 | すしざんまい |
| 2015 | 451万円 | すしざんまい |
| 2014 | 736万円 | すしざんまい |
| 2013 | 1億5540万円 | すしざんまい |
| 2012 | 5649万円 | すしざんまい |
| 2011 | 3249万円 | 銀座久兵衛・板前寿司 |
| 2010 | 1628万円 | 銀座久兵衛・板前寿司 |
| 2009 | 963万円 | 銀座久兵衛・板前寿司 |
| 2008 | 607万2000円 | 銀座久兵衛・板前寿司 |
すしざんまいは、2004年〜2007年まで4年連続で一番マグロを競り落としています。
その後、「香港の寿司王」の異名を持つ「板前寿司」が4年連続で落札したことでその座を明け渡しました。
2012年から2020年までは「すしざんまい無双」でした。
特に圧巻だったのが2019年の3億3360万円ですよね!
一貫あたり2万4700円という驚愕の金額で競り落とし、一番マグロへのこだわりを見せつけました。
しかし、2021年以降は「銀座おのでら(ONODERA GROUP)」と仲卸「やま幸」のタッグが5連覇を達成。
2020年を最後に「すしざんまい」の名前を聞くことはなくなりました。
すしざんまいは初競りで一番マグロをなぜやめた?

なぜ「すしざんまい」の木村社長は、あれほどこだわっていた一番マグロを落札しなくなったのでしょうか?
木村社長の過去のコメントや当時の社会情勢を分析すると、単なる資金不足ではなく、明確な「3つの理由」が見えてきます。
- 感染症による自粛と方針転換
- 宣伝効果(ROI)の限界
- 被災地支援
理由1. 感染症による自粛と方針転換
最大の転機は2021年です。
当時は新型コロナウイルスの感染拡大真っ只中でした。
木村社長はメディアに対し、「派手にやって人を集めると『密』になる。今年は自粛する」と明言しました。
これを機に無理に高値を追わず、「一番良いマグロを適正価格で安く買うのが商売」(2022年コメント)という、実利重視のスタイルへ回帰しました。
木村社長は「高額落札そのものにこだわりはない」とも話しており、話題よりも美味しいマグロを適正価格で仕入れて提供するのが本来の目的であることを強調しています。
理由2. 宣伝効果(ROI)の限界
マグロの初競りで落札額が跳ね上がるのは、ご祝儀相場という理由のほかに広告宣伝費という側面があります。
2019年に史上最高額の3億3360万円で落札したことで、「すしざんまい=初競り」というブランドイメージは完成しました。
毎年数億円の落札額(=広告費)を投じても、それ以上の宣伝効果を得ることは難しいという経営判断が働いたと考えられます。
ちなみに、木村社長は宣伝目的で高額を出していることを否定していますが、宣伝効果が絶大であることは否定できないでしょう。
理由3. 被災地支援
2024年の能登半島地震直後の初競りでは、
「今年はあまり派手にやらずに自粛して。その分災害で被災した人たちにいくらかでもいい形でできることをやった方がいいのかなと思っております。」
とコメントを残しました。
今回に限らず、2011年の東日本大地震の時もマグロの解体ショーを披露し、無料で寿司を振る舞っています。
すしざんまいの経営は悪化しているのか?
ネット上では「経営がヤバいから競りに参加できないのでは?」という声もあります。
これについては、「コロナ禍は本当にヤバかったが、現在は持ち直している(ただし規模は縮小した)」というのが正解です。
すしざんまい(株式会社喜代村)の経営指標の推移を見てみましょう。
| 時期 | 売上高(推定) | 店舗数 | 状況 |
| 2019年 | 約296億円 | 57店舗 | 過去最高売上・3.3億円マグロ落札 |
| 2020年 | 約190億円 | 61店舗 | 最後の一番マグロ。その後コロナ騒動 |
| 2021年 | 約160億円 | 53店舗 | コロナ直撃で売上が半減。「一番マグロ」撤退へ |
| 2022年 | 約149億円 | 51店舗 | 店舗数は2023年の情報 |
| 2024年 | 約200億円 | 48店舗 | 不採算店を整理し、利益重視の経営へ |
2020年〜2021年は休業や時短営業の影響で、売上が前年の約4割まで落ち込む危機的状況でした。
この時期に「数億円のマグロを買う余裕がなかった」のは事実でしょう。
現在は約10店舗以上の地方店や家賃の高い不採算店舗を閉店させ、身軽になりました。
インバウンド需要も復活しており、倒産の危機というよりは、無駄を省いた堅実経営にシフトしています。
つまり、「お金がないから買えない」のではなく、「経営を立て直すために、広告費よりも大切なところにお金を使っている」と言えます。
すしざんまいの豊洲撤退と豊洲出禁のデマ
「すしざんまい」と検索すると「豊洲 撤退」や「豊洲 出禁」というワードが出てきます。
- 「すしざんまいは豊洲から撤退した」
- 「豊洲を出禁になった」
という噂も耳にしますが、これは完全にデマです。
噂の真相1:「豊洲撤退」の誤解
この噂の根拠は、大きく分けて2つの出来事が混ざっていると考えられます。
- 「千客万来施設」運営からの撤退(2015年)
- 豊洲店の閉店(2020年)
「千客万来施設」運営からの撤退
かつて、すしざんまい(喜代村)は豊洲市場に併設される観光施設「千客万来施設」の運営事業者に選ばれていました。
しかし、開店の遅れや採算性の問題から、2015年に「事業計画からの撤退」を表明しました。
この時の「豊洲の計画から撤退」という大々的なニュースが、今でも検索されていると思われます。
そして時には「豊洲市場そのものから去った」という誤解が残っている可能性があります。
豊洲店の閉店
豊洲市場に併設されていた店舗「すしざんまい 豊洲店」が2020年10月に閉店したというニュースが元ネタです。
あくまで「1つの飲食店が閉店した」だけであり、すしざんまい自体が市場での取引をやめたわけでも、会社がなくなったわけでもありません。
噂の真相2:「出禁」のデマ
一番マグロを競り落とさなくなったことと、店舗閉店の情報が混ざり、「競りに参加させてもらえないのでは?(出禁)」という憶測が広まりました。
しかし、すしざんまいは現在も豊洲市場で日常的に仕入れを行っており、出禁の事実はありません。
木村社長は毎年競りの会場にいますし、公式YouTubeチャンネルでは毎年のように初競りの様子を動画でアップしています。
出禁どころか、現在も市場の主要な常連客です。
まとめ
すしざんまいが初競りの一番マグロから姿を消した理由は、経営破綻や出禁といったネガティブな理由ではありません。
- 理由: 感染症での「自粛」をきっかけに、3億円の広告費をかけるよりも「適正価格での提供」や「社会貢献」を重視する方針に切り替えたため。
- 経営: コロナ禍で売上が半減する危機があったが、店舗整理を行い現在は回復傾向。
- デマ: 豊洲からの撤退や出禁は事実無根。現在も市場の主要な買い手の一つ。
木村社長は「高額落札そのものにこだわりはない」と話しており、一番マグロを競り落とす姿が見られなくなったのは少し寂しい気もしますね。
2026年の初競りでも、おそらく一番マグロ争いには参加せず、ニコニコと「うちは安くて美味いよ」とコメントする木村社長の姿が見られるのではないでしょうか。




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